サンクトペテルブルクのパラドックス
サンクトペテルブルクのパラドックス
コインを表が出るまで投げ続けて、表が出るまで\(k\)回投げたとき\(2^{k-1}\)円貰えるゲームを考える。
このゲームはいくらまでの参加費なら挑戦すればいいでしょうか?
コインを表が出るまで投げ続けて、表が出るまで\(k\)回投げたとき\(2^{k-1}\)円貰えるゲームを考える。
このゲームはいくらまでの参加費なら挑戦すればいいでしょうか?
表が出るまで\(k\)回投げる確率\(P\left(k\right)\)は\(k-1\)回続けて裏が出て、次に表が出る確立なので、
\begin{align*} P\left(k\right) & =\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}\frac{1}{2}\\ & =2^{-k} \end{align*} となる。これより貰える金額の期待値\(E\)は
\begin{align*} E & =\sum_{k=1}^{\infty}2^{k-1}P\left(k\right)\\ & =\sum_{k=1}^{\infty}2^{k-1}2^{k}\\ & =\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{\infty}1\\ & =\infty \end{align*} となるので、参加費がいくら高額でも参加するほうがよいという結論になる。
\(k<n\)のとき\(k\)回投げる確率\(P\left(k\right)\)は
\begin{align*} P\left(k\right) & =\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}\frac{1}{2}\\ & =2^{-k} \end{align*} \(k=n\)のとき\(k\)回投げる確率\(P\left(k\right)\)は
\begin{align*} P\left(n\right) & =1-\sum_{k=1}^{n-1}P\left(k\right)\\ & =1-\sum_{k=1}^{n-1}2^{-k}\\ & =1-\frac{1}{2}\cdot\frac{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}}{1-\frac{1}{2}}\\ & =1-1+\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\\ & =2^{-\left(n-1\right)} \end{align*} まとめると、
\[ P\left(k\right)=\begin{cases} 2^{-k} & k<n\\ 2^{-\left(n-1\right)} & k=n \end{cases} \] となる。
そのときの貰える金額の期待値\(E\left(n\right)\)は
\begin{align*} E\left(n\right) & =\sum_{k=1}^{n}2^{k-1}P\left(k\right)\\ & =\sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}P\left(k\right)+2^{n-1}P\left(n\right)\\ & =\sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}2^{-k}+2^{n-1}2^{-\left(n-1\right)}\\ & =\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n-1}1+1\\ & =\frac{n-1}{2}+1\\ & =\frac{n+1}{2} \end{align*} \(n=27\)とすると(最高で\(2^{27-1}\)円ほど貰えるので約6710万円)、\(E\left(27\right)=14\)となり、参加費が14円より安ければ参加したほうがいい計算になる。
\(n=41\)とすると(最高で\(2^{41-1}\)円ほど貰えるので約1兆円ほど)、\(E\left(41\right)=21\)となり、参加費が21円より安ければ参加したほうがいい計算になる。
このように実際には賭けて利益の出る参加費は非常に少なくなる。
\begin{align*} P\left(k\right) & =\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}\frac{1}{2}\\ & =2^{-k} \end{align*} となる。これより貰える金額の期待値\(E\)は
\begin{align*} E & =\sum_{k=1}^{\infty}2^{k-1}P\left(k\right)\\ & =\sum_{k=1}^{\infty}2^{k-1}2^{k}\\ & =\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{\infty}1\\ & =\infty \end{align*} となるので、参加費がいくら高額でも参加するほうがよいという結論になる。
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現実的には相手側が払える金額には上限があるので最高で\(n\)回までしか投げられないとする。\(k<n\)のとき\(k\)回投げる確率\(P\left(k\right)\)は
\begin{align*} P\left(k\right) & =\left(\frac{1}{2}\right)^{k-1}\frac{1}{2}\\ & =2^{-k} \end{align*} \(k=n\)のとき\(k\)回投げる確率\(P\left(k\right)\)は
\begin{align*} P\left(n\right) & =1-\sum_{k=1}^{n-1}P\left(k\right)\\ & =1-\sum_{k=1}^{n-1}2^{-k}\\ & =1-\frac{1}{2}\cdot\frac{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}}{1-\frac{1}{2}}\\ & =1-1+\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\\ & =2^{-\left(n-1\right)} \end{align*} まとめると、
\[ P\left(k\right)=\begin{cases} 2^{-k} & k<n\\ 2^{-\left(n-1\right)} & k=n \end{cases} \] となる。
そのときの貰える金額の期待値\(E\left(n\right)\)は
\begin{align*} E\left(n\right) & =\sum_{k=1}^{n}2^{k-1}P\left(k\right)\\ & =\sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}P\left(k\right)+2^{n-1}P\left(n\right)\\ & =\sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}2^{-k}+2^{n-1}2^{-\left(n-1\right)}\\ & =\frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n-1}1+1\\ & =\frac{n-1}{2}+1\\ & =\frac{n+1}{2} \end{align*} \(n=27\)とすると(最高で\(2^{27-1}\)円ほど貰えるので約6710万円)、\(E\left(27\right)=14\)となり、参加費が14円より安ければ参加したほうがいい計算になる。
\(n=41\)とすると(最高で\(2^{41-1}\)円ほど貰えるので約1兆円ほど)、\(E\left(41\right)=21\)となり、参加費が21円より安ければ参加したほうがいい計算になる。
このように実際には賭けて利益の出る参加費は非常に少なくなる。
ページ情報
タイトル | サンクトペテルブルクのパラドックス |
URL | https://www.nomuramath.com/xw87d9ji/ |
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