収束列・コーシー列・完備・完備化の定義

収束列・コーシー列・完備・完備化の定義

(1)収束列

距離空間\(\left(X,d\right)\)で点列\(\left(a_{n}\right)\)が
\[ \exists a\in X\;,\;\forall\epsilon>0\;,\;\exists N\in\mathbb{N}\;;\;n\geq N\Rightarrow d\left(a_{n},a\right)<\epsilon \] となるとき、
\[ \lim_{n\rightarrow\infty}a_{n}=a \] で表し、\(a\in X\)であるとき点列\(\left(a_{n}\right)\)を収束列という。

(2)コーシー列(基本列)

距離空間\(\left(X,d\right)\)で点列\(\left(a_{n}\right)\)が
\[ \forall\epsilon>0\;,\;\exists N\in\mathbb{N}\;;\;m,n\geq N\Rightarrow d\left(a_{m},a_{n}\right)<\epsilon \] となるとき、
\[ \lim_{n,m\rightarrow\infty}d\left(a_{m},a_{n}\right)=0 \] で表し、点列\(\left(a_{n}\right)\)をコーシー列または基本列という。

(3)完備

ある距離空間の任意のコーシー列がその距離空間内で収束するとき、その距離空間を完備といい、完備な距離空間を完備距離空間という。
すなわち、距離空間\(\left(X,d\right)\)があるとき、任意のコーシー列\(\left(x_{n}\right)_{n\in\mathbb{N}}\subseteq X\)に対し、ある\(x\in X\)が存在し、\(\lim_{n\rightarrow\infty}d\left(x_{n},x\right)=0\)となるとき、その距離空間を完備といい、完備な距離空間を完備距離空間という。

(4)完備化

完備でない距離空間に任意のコーシー列の収束点を全て加えて完備な距離空間にすることを完備化という。

(1)

実数\(\mathbb{R}\)上で数列\(a_{n}=\frac{1}{n}\)は収束先が\(0\in\mathbb{R}\)なので収束列となるが、\(\left(0,1\right)\)上では数列\(a_{n}=\frac{1}{n}\)の収束先が0となり\(0\notin\left(0,1\right)\)なので収束列ではない。

(2)

距離空間として\(\left(0,1\right]\)をとり、\(a_{n}=\frac{1}{n}\)とすると、コーシー列であるが、\(\left(0,1\right]\)に極限値の\(0\)は含まれていないので収束列ではない。

(3)

\(\left(a_{k}\right)=\left(\left(-1\right)^{k}\right)\)は収束しないが順序を保つ単射\(f\left(k\right)=2k\)により部分列\(\left(a_{f\left(k\right)}\right)=\left(a_{2k}\right)=\left(\left(-1\right)^{2k}\right)=\left(1\right)\)
は収束する。

(4)

\(\mathbb{R}\)上の\(\left(0,1\right)\)は数列\(\left(a_{n}=\frac{1}{n}\right)\)は\(\left(0,1\right)\)のコーシー列であるが収束先は\(0\notin\left(0,1\right)\)なので完備ではない。

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収束列・コーシー列・完備・完備化の定義
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