近傍・開近傍・閉近傍・近傍系・開近傍系・基本近傍系・開基・準開基の定義と性質
定義
(1)近傍
位相空間の元に対し、部分集合がとなるとき、をの近傍という。
または、位相空間の元に対し、を含むある開集合が存在し、をが含むとき、すなわちとなるときをの近傍という。
は開集合ですが、は開集合とは限りません。
(2)開近傍
位相空間の元に対し、を含む開集合をの開近傍という。
開近傍は近傍が開集合となるときと同値である。
(3)閉近傍
位相空間の元とを含む閉集合があり、ある開集合が存在し、となるとき、を閉近傍という。
閉近傍は近傍が閉集合となるときと同値である。
(4)近傍系
位相空間が与えられたとき、元の近傍全体からなる部分集合族を近傍系という。
近傍系の元は開集合とは限りません。
は一意的に決まります。
基本近傍系が与えられたとき、近傍系は
となる。
(5)開近傍系
位相空間が与えられたとき、任意の元の開近傍全体からなる集合族を開近傍系という。
開近傍系の元は開集合になります。
は一意的に決まります。
(6)基本近傍系
位相空間と元が与えられたとき、近傍系の部分集合があり、任意の近傍系の元に対し、あるの元が存在し、となるとき、を基本近傍系という。
すなわち、
である。
基本近傍系の元は開集合とは限りません。
は一意的には決まりません。
(7)基本開近傍系
位相空間と元が与えられたとき、開近傍系の部分集合があり、任意の開近傍系の元に対し、あるの元が存在し、となるとき、を基本開近傍系という。
すなわち、
である。
また、基本近傍系の元は全て開近傍であるものを基本開近傍系という。
基本開近傍系の元は開集合となります。
は一意的には決まりません。
(8)開基
位相空間が与えられたとき、ある部分集合が存在し、任意の開集合に対し、ある部分集合が存在し、で表されるとき、を開基という。
とするととなるのでとなる。
は一意的には決まりません。
(9)準開基
位相空間の開基が与えられたとき、任意のに対しある集合族の有限部分集合が存在しとなるとき、を準開基という。
とするととなるのでとなる。
準開基は一意的には決まりません。
性質
(1)開基の別定義
位相空間があるとき、集合族が開基であることと、集合族の任意の元が開集合であり、任意の開集合と任意の元についてあるが存在し、となることは同値である。
(2)基本開近傍系から開基の作成
位相空間があり、として基本開近傍系があるとき、は開基となる。
(3)開基から基本開近傍系の作成
位相空間があり、開基があるとき、として、はの基本開近傍系となる。
(4)
集合とべき集合の部分集合をとして、かつとなるとき、は開基となる。
(1)近傍
位相空間を
とする。
なので
は
の近傍となる。
なので
は
の近傍となる。
なので
は
の近傍となる。
なので
は
の近傍ではない。
(2)開近傍
位相空間を
とする。
と
は
を元にもつ近傍で開集合なので
の開近傍となる。
は
を含む近傍であるが
は開集合ではないので
の開近傍とならない。
(3)閉近傍
位相空間を
とする。
このとき、閉集合全体の集合は
である。
は
を元にもつ近傍で閉集合なので
の閉近傍となる。
は
を元にもつ閉集合であるが
を元にもつ近傍ではないので閉近傍ではない。
は
を元にもつ近傍であるが閉集合ではないので
の閉近傍とならない。
(4)近傍系
位相空間を
とする。
を含む近傍系は
となる。
を含む近傍系は
となる。
(5)開近傍系
位相空間を
とする。
を含む開近傍系は
となる。
を含む開近傍系は
となる。
(6)基本近傍系
位相空間を
とする。
は
を含む基本近傍系となる。
は近傍系の部分集合ではないので
を含む基本近傍系ではない。
については
は近傍系の元であるが
となるので
を含む基本近傍系とはならない。
については
は近傍系の元であるが
となるので
を含む基本近傍系とはならない。
は
を含む基本近傍系となる。
距離空間を
とすると、
は
を含む基本近傍系となる。
(7)基本開近傍系
位相空間を
とする。
は
を含む基本開近傍系となる。
は開近傍系の部分集合ではないので
を含む基本開近傍系ではない。
については
は開近傍系の元であるが
となるので
を含む基本開近傍系とはならない。
については
は開近傍系の元であるが
となるので
を含む基本開近傍系とはならない。
は
を含む基本開近傍系となる。
距離空間を
とすると、
は
を含む基本開近傍系となる。
(8)開基
位相空間を
とする。
は開集合全体の部分集合であり、
なので開基となる。
は開集合
が
の元の和集合で表せないので開基とはならない。
は開集合
が
の元の和集合で表せないので開基とはならない。
は
が開集合でないので開基ではない。
離散位相
は1点集合の全体
が開基となる。
距離空間
は各点の
近傍全体
が開基となる。
2つの位相空間
の直積位相空間
は
が開基となる。
(9)準開基
位相空間
の開基を
とする。
は開基の部分集合であり、
なので準開基となる。
は開基の元
が
の元の積集合で表せないので準開基とはならない。
(1)
条件よりは開基であるのでの任意の元は開集合となる。
また、任意の開集合について、あるの部分集合が存在し、は開基なのでとできる。
このとき、任意の元について、あるが存在し、かつとなるので、かつとなる。
従って、が成り立つ。
条件より、任意の開集合と任意の元について、あるが存在し、となるようにできる。
このとき、となるので、とおくととなる。
従って、任意の開集合について、とおくととなり、の任意の元は開集合なので、は開基となる。
故にが成り立つ。
これらより、とが成り立つのでが成り立つ。
(2)
任意のと任意のについて、ある基本開近傍系の元が存在し、となる。
このとき、となり、となる。
従って、は開基となる。
(3)
として、の近傍をとると、ある部分集合が存在し、の内部となる。
ここで、がとなるとき、となり、となる。
従って、は基本開近傍系となる。
(4)
の元の任意個の和集合全体の集合
がの開集合族になることを示せばは開基となる。
空集合と全体集合
よりとなるのでとなる。
また、条件よりなので、となる。
有限個の積集合
任意のについて、あるが存在し、で表され、同様にあるが存在し、で表される。
これより、であるので、
となる。
任意個の和集合
とすると、あるが存在しと表すことができる。
これより、となる。
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これらより、はの開集合族となるので、は開基となる。
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