上限位相空間・下限位相空間の分離公理(T1・T2・T3・T4・正則空間・正規空間)
上限位相空間・下限位相空間の分離公理(T1・T2・T3・T4・正則空間・正規空間)
上限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)と下限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{l}\right)\)は以下を満たす。
上限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{u}\right)\)と下限位相空間\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{l}\right)\)は以下を満たす。
(1)
\(T_{1}\)空間である。(2)
\(T_{2}\)空間(ハウスドルフ空間)である。(3)
\(T_{3}\)空間である。(4)
\(T_{4}\)空間である。(5)
正則空間である。(6)
正規空間である。上限位相空間のみ示す。
下限位相も同様である。
任意の異なる2点\(a,b\in\mathbb{R},a\ne b\)に対し、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\min\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つが\(\max\left\{ a,b\right\} \)は要素に持たない。
また、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\max\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つが\(\min\left\{ a,b\right\} \)は要素に持たない。
故に上限位相空間は\(T_{1}\)空間となる。
任意の異なる2点\(a,b\in\mathbb{R},a\ne b\)に対し、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\min\left\{ a,b\right\} \)を要素に持ち、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\max\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つ。
このとき、\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\cap\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]=\emptyset\)となる。
従って、上限位相空間はハウスドルフ空間となる。
任意の閉集合\(A\subseteq\mathbb{R}\)をとり、\(A\)の補集合から1点\(x\in A^{c}\)をとると、\(x\notin A\)となる。
このとき、\(A^{c}\)は開集合なので、ある\(\epsilon>0\)が存在し要素\(x\)を含む\(\epsilon\)近傍\(\left(x-\epsilon,x\right]\)がとれる。
ここで、\(\left(x-\epsilon,x\right]\subseteq A^{c}\)となるので、\(A\subseteq\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)となり、\(\left(x-\epsilon,x\right]\)が閉集合かつ開集合なので補集合\(\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)も閉集合かつ開集合となる。
これより、要素\(x\)を含む開集合\(\left(x-\epsilon,x\right]\)と閉集合\(A\)を含む開集合\(\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)の積集合は\(\left(x-\epsilon,x\right]\cap\left(x-\epsilon,x\right]^{c}=\emptyset\)となるので、\(T_{3}\)空間となる。
閉集合\(A,B\subseteq\mathbb{R}\)を\(A\cap B=\emptyset\)となるようにとる。
このとき、\(a\in A\)とすると\(a\notin B\)なので\(a\in B^{c}\)となり、\(B^{c}\)は閉集合\(B\)の補集合\(B^{cc}=B\)なので開集合となり、ある正数\(\epsilon_{a}>0\)が存在し\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\subseteq B^{c}\)を満たす。
同様に\(b\in B\)とすると\(b\notin A\)なので、ある正数\(\epsilon_{b}>0\)が存在し\(\left(b-\epsilon_{b},b\right]\subseteq A^{c}\)を満たす。
ここで、\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\ne\emptyset\)と仮定する。
そうすると、\(a\ne b\)なので\(a<b\)とすると、ある\(x\in\mathbb{R}\)が存在し、\(x\in\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\)となるが\(a-\epsilon_{a}<x\leq a,b-\epsilon_{b}<x\leq b\)より、\(b-\epsilon_{b}<x\leq a<b\)となり、\(a\in\left(b-\epsilon_{b},b\right]\)となる。
このとき、\(a\in\left(b-\epsilon_{b},b\right]\subseteq A^{c}\)となり、\(a\notin A\)となり矛盾。
同様に\(b<a\)としても矛盾となる。
従って、背理法より、\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]=\emptyset\)となる。
これより、
\[ U_{A}=\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right] \] \[ U_{B}=\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right] \] と定めると、\(U_{A}\)は開集合の任意個の和集合なので開集合となり、同様に\(U_{B}\)も開集合であり、
\begin{align*} U_{A} & =\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right]\\ & \supseteq\bigcup_{a\in A}\left\{ a\right\} \\ & =A \end{align*} \begin{align*} U_{B} & =\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right]\\ & \supseteq\bigcup_{b\in B}\left\{ b\right\} \\ & =B \end{align*} \begin{align*} U_{A}\cap U_{B} & =\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right]\\ & =\bigcup_{a\in A}\bigcup_{b\in B}\left(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\right)\\ & =\bigcup_{a\in A}\bigcup_{b\in B}\emptyset\\ & =\emptyset \end{align*} となる。
従って、ある開集合\(U_{A},U_{B}\)が存在し、\(A\subseteq U_{A},B\subseteq U_{B},U_{A}\cap U_{B}=\emptyset\)となるので\(T_{4}\)空間となる。
下限位相も同様である。
(1)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間は\(T_{1}\)空間なので、上限位相空間も\(T_{1}\)空間となる。(1)-2
直接求める。任意の異なる2点\(a,b\in\mathbb{R},a\ne b\)に対し、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\min\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つが\(\max\left\{ a,b\right\} \)は要素に持たない。
また、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\max\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つが\(\min\left\{ a,b\right\} \)は要素に持たない。
故に上限位相空間は\(T_{1}\)空間となる。
(2)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間はハウスドルフ空間なので、上限位相空間もハウスドルフ空間となる。(2)-2
直接求める。任意の異なる2点\(a,b\in\mathbb{R},a\ne b\)に対し、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\min\left\{ a,b\right\} \)を要素に持ち、開集合\(\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]\)は\(\max\left\{ a,b\right\} \)を要素に持つ。
このとき、\(\left(\min\left\{ a,b\right\} -1,\min\left\{ a,b\right\} \right]\cap\left(\min\left\{ a,b\right\} ,\max\left\{ a,b\right\} \right]=\emptyset\)となる。
従って、上限位相空間はハウスドルフ空間となる。
(3)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間は\(T_{3}\)空間なので、上限位相空間も\(T_{3}\)空間となる。(3)-2
直接求める。任意の閉集合\(A\subseteq\mathbb{R}\)をとり、\(A\)の補集合から1点\(x\in A^{c}\)をとると、\(x\notin A\)となる。
このとき、\(A^{c}\)は開集合なので、ある\(\epsilon>0\)が存在し要素\(x\)を含む\(\epsilon\)近傍\(\left(x-\epsilon,x\right]\)がとれる。
ここで、\(\left(x-\epsilon,x\right]\subseteq A^{c}\)となるので、\(A\subseteq\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)となり、\(\left(x-\epsilon,x\right]\)が閉集合かつ開集合なので補集合\(\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)も閉集合かつ開集合となる。
これより、要素\(x\)を含む開集合\(\left(x-\epsilon,x\right]\)と閉集合\(A\)を含む開集合\(\left(x-\epsilon,x\right]^{c}\)の積集合は\(\left(x-\epsilon,x\right]\cap\left(x-\epsilon,x\right]^{c}=\emptyset\)となるので、\(T_{3}\)空間となる。
(4)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間は\(T_{4}\)空間なので、上限位相空間も\(T_{4}\)空間となる。(4)-2
直接示す閉集合\(A,B\subseteq\mathbb{R}\)を\(A\cap B=\emptyset\)となるようにとる。
このとき、\(a\in A\)とすると\(a\notin B\)なので\(a\in B^{c}\)となり、\(B^{c}\)は閉集合\(B\)の補集合\(B^{cc}=B\)なので開集合となり、ある正数\(\epsilon_{a}>0\)が存在し\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\subseteq B^{c}\)を満たす。
同様に\(b\in B\)とすると\(b\notin A\)なので、ある正数\(\epsilon_{b}>0\)が存在し\(\left(b-\epsilon_{b},b\right]\subseteq A^{c}\)を満たす。
ここで、\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\ne\emptyset\)と仮定する。
そうすると、\(a\ne b\)なので\(a<b\)とすると、ある\(x\in\mathbb{R}\)が存在し、\(x\in\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\)となるが\(a-\epsilon_{a}<x\leq a,b-\epsilon_{b}<x\leq b\)より、\(b-\epsilon_{b}<x\leq a<b\)となり、\(a\in\left(b-\epsilon_{b},b\right]\)となる。
このとき、\(a\in\left(b-\epsilon_{b},b\right]\subseteq A^{c}\)となり、\(a\notin A\)となり矛盾。
同様に\(b<a\)としても矛盾となる。
従って、背理法より、\(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]=\emptyset\)となる。
これより、
\[ U_{A}=\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right] \] \[ U_{B}=\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right] \] と定めると、\(U_{A}\)は開集合の任意個の和集合なので開集合となり、同様に\(U_{B}\)も開集合であり、
\begin{align*} U_{A} & =\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right]\\ & \supseteq\bigcup_{a\in A}\left\{ a\right\} \\ & =A \end{align*} \begin{align*} U_{B} & =\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right]\\ & \supseteq\bigcup_{b\in B}\left\{ b\right\} \\ & =B \end{align*} \begin{align*} U_{A}\cap U_{B} & =\bigcup_{a\in A}\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\bigcup_{b\in B}\left(b-\epsilon_{b},b\right]\\ & =\bigcup_{a\in A}\bigcup_{b\in B}\left(\left(a-\epsilon_{a},a\right]\cap\left(b-\epsilon_{b},b\right]\right)\\ & =\bigcup_{a\in A}\bigcup_{b\in B}\emptyset\\ & =\emptyset \end{align*} となる。
従って、ある開集合\(U_{A},U_{B}\)が存在し、\(A\subseteq U_{A},B\subseteq U_{B},U_{A}\cap U_{B}=\emptyset\)となるので\(T_{4}\)空間となる。
(5)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間は正則空間なので、上限位相空間も正則空間となる。(5)-2
上限位相は\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間なので、正則空間となる。(6)
上限位相は通常位相より強い位相であり、通常位相空間は正規空間なので、上限位相空間も正規空間となる。(6)-2
上限位相は\(T_{1}\)空間かつ\(T_{4}\)空間なので、正規空間となる。(6)-3
上限位相空間は正則空間でリンデレフ空間なので正規空間となる。ページ情報
タイトル | 上限位相空間・下限位相空間の分離公理(T1・T2・T3・T4・正則空間・正規空間) |
URL | https://www.nomuramath.com/wy7pt2et/ |
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上限位相と下限位相の定義
\[
\mathcal{B}_{u}=\left\{ \left(a,b\right];a,b\in\mathbb{R},a<b\right\}
\]
上限位相・下限位相での開集合と閉集合
上限位相と下限位相より強ければ離散位相
上限位相・下限位相は通常位相より強い
\[
\mathcal{O}\subseteq\mathcal{O}_{u}
\]