(*)分離公理(距離・正規・正則・T2・T1・T0・その他)同士の関係

分離公理(距離・正規・正則・T2・T1・T0・その他)同士の関係
位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)があるとき分離公理について次が成り立つ。

基本的な関係

(1)

\[ \text{距離空間}\Rightarrow\text{正規空間}\Rightarrow\text{正則空間}\Rightarrow T_{2}\text{空間}\Rightarrow T_{1}\text{空間}\Rightarrow T_{0}\text{空間} \] 全ての\(\Rightarrow\)において逆は一般的に成り立ちません。

(2)

\(T_{4}\)空間ならば\(T_{3}\)空間とは限らない。

(3)

\(T_{3}\)空間ならば\(T_{2}\)空間とは限らない。

(4)

\(T_{4}\)空間ならば\(T_{2}\)空間とは限らない。

その他の関係

(5)

\(T_{0}\)空間であることと、異なる任意の2点が位相的に識別可能であることは同値である。

(6)

\(T_{1}\)空間であることと、\(T_{0}\)空間かつ\(R_{0}\)空間となることは同値である。

(7)

\(T_{2}\)空間であることと、\(T_{0}\)空間かつ\(R_{1}\)空間となることは同値である。

(8)

\(T_{3}\)空間ならば\(R_{1}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(9)

正則空間であることと、\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間であることは同値である。

(10)

正則空間ならば\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間となる。
逆は一般的に成り立たない。

(11)

正規空間ならば完全正則空間空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(12)

\(R_{1}\)空間ならば\(R_{0}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(13)

\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間ならば\(T_{2}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(14)

完全\(T_{2}\)空間ならば\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(15)

完全\(T_{3}\)空間ならば\(T_{3}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(16)

完全正則空間であることと、\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間と同値である。

(17)

完全正則空間ならば正則空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(18)

完全正則空間ならば完全\(T_{2}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(19)

完全正規空間ならば全部分正規空間となる。
逆は一般的に成り立たない。

(20)

全部分\(T_{4}\)空間ならば\(T_{4}\)空間である。
逆は一般的に成り立たない。

(21)

全部分正規空間ならば正規空間となる。
逆は一般的に成り立たない。

(1)

距離空間\(\Rightarrow\)正規空間

任意の閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq X\)を\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)となるようにとる。
ここで、
\[ \begin{cases} U_{1}=\left\{ x;d\left(x,F_{1}\right)<d\left(x,F_{2}\right)\right\} \\ U_{2}=\left\{ x;d\left(x,F_{1}\right)>d\left(x,F_{2}\right)\right\} \end{cases} \] となるようにとると\(U_{1}\cap U_{2}=\emptyset\)となる。
また、\(x\in F_{1}\)のとき、\(0=d\left(x,F_{2}\right)\)と仮定すると、\(F_{2}\)は閉集合なので\(x\in F_{2}^{a}=F_{2}\)となり\(x\in F_{1}\cap F_{2}\)となるので矛盾するので\(0<d\left(x,F_{2}\right)\)となる。
従って、\(d\left(x,F_{1}\right)=0,0<d\left(x,F_{2}\right)\)となるので\(x\in U_{1}\)となり、\(F_{1}\subseteq U_{1}\)となる。
同様に\(F_{2}\subseteq U_{2}\)となる。
このとき、\(f:X\rightarrow\mathbb{R},x\mapsto f\left(x\right)=d\left(x,F_{2}\right)-d\left(x,F_{1}\right)\)とすると連続写像となる。
これを使うと、\(U_{1}=\left\{ x;0<f\left(x\right)\right\} =f^{\bullet}\left(\left(0,\infty\right)\right)\)となり\(U_{1}\)は開集合の逆像なので開集合となる。
同様に\(U_{2}\)も開集合となる。
まとめると、任意の閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq X\)に対し、\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)であればある開集合\(U_{1},U_{2}\in\mathcal{O}\)が存在し、\(F_{1}\subseteq U_{1},F_{2}\subseteq U_{2},U_{1}\cap U_{2}=\emptyset\)となる。
故に\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)は正規空間となる。

逆は一般的に成り立たない

反例はゾルゲンフライ直線である。

正規空間\(\Rightarrow\)正則空間

\(\Rightarrow\)

正規空間は\(T_{4}\)空間かつ\(T_{1}\)空間で、正則空間は\(T_{3}\)空間かつ\(T_{1}\)空間なので、\(T_{4}\)空間かつ\(T_{1}\)空間ならば\(T_{3}\)空間を示せればいい。
\(T_{4}\)空間なので、任意の閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq X\)に対し、ある開集合\(U,V\in\mathcal{O}\)が存在し、\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)ならば、\(F_{1}\subseteq U,F_{2}\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)を満たす。
また、\(T_{1}\)空間であることと、任意の単集合は閉集合となることは同値である。
これより、任意の\(x\in X\)に対し、\(\left\{ x\right\} \)は閉集合なので\(F_{1}=\left\{ x\right\} \)とおけば\(\left\{ x\right\} \cap F_{2}=\emptyset\)ならば、\(\left\{ x\right\} \subseteq U,F_{2}\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)を満たす。
このとき、\(\left\{ x\right\} \cap F_{2}=\emptyset\Leftrightarrow\left\{ x\right\} \subseteq F_{2}^{c}\Leftrightarrow x\in F_{2}^{c}\Leftrightarrow x\notin F_{2}\)であり、\(\left\{ x\right\} \subseteq U\Leftrightarrow x\in U\)なので、\(x\notin F_{2}\)ならば\(x\in U,F_{2}\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)となり\(T_{3}\)空間となる。
従って、\(T_{3}\)空間かつ\(T_{1}\)空間となるので正則空間となる。

逆は一般的に成り立たない

反例はゾルゲンフライ平面である。

正則空間\(\Rightarrow T_{2}\)空間

\(\Rightarrow\)

正則空間なので\(T_{1}\)空間で\(T_{3}\)空間である。
\(T_{1}\)空間であることと単集合が閉集合であることは同値である。
これより、\(T_{3}\)空間なので、任意の点\(x\in X\)と任意の閉集合\(F\subseteq X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(x\notin F\)ならば、\(x\in U,F\subseteq V,U\cap V=\emptyset\)を満たす。
ここで閉集合として\(\left\{ y\right\} =F\subseteq X\)を選べば、\(F\subseteq X\Leftrightarrow\left\{ y\right\} \subseteq X\Leftrightarrow y\in X,x\notin F\Leftrightarrow x\notin\left\{ y\right\} \Leftrightarrow x\ne y,F\subseteq V\Leftrightarrow\left\{ y\right\} \subseteq V\Leftrightarrow y\in V\)となる。
従って、任意の\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(x\ne y\rightarrow x\in U,y\in V,U\cap V=\emptyset\)となるので\(T_{2}\)空間となる。

別証明

正則空間なので\(T_{1}\)空間であり、任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U\)が存在し、\(x\in U\land y\notin U\)となるので\(x\in U\land y\notin U\Leftrightarrow x\in U\land y\in U^{c}\)となる。
ここで\(U^{c}\)は閉集合で\(F=U^{c}\)とおくと、\(x\notin U^{c}=F\)となる。
また、正則空間なので\(T_{3}\)空間であり、\(x\notin F\)なので、ある開集合\(U_{1},U_{2}\)が存在し、\(x\in U_{1},F\subseteq U_{2}\)となるので\(x\in U_{1},y\in U^{c}=F\subseteq U_{2},U_{1}\cap U_{2}=\emptyset\)となり\(T_{2}\)空間となる。

逆は一般的に成り立たない

反例は実数全体の集合\(\mathbb{R}\)にK位相をいれた位相である。

\(T_{2}\)空間\(\Rightarrow T_{1}\)空間

\(T_{2}\)空間なので、任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U,V\)が存在し、\(x\in U,y\in V,U\cap V=\emptyset\)となるので、\(x\in U,y\in V,U\cap V=\emptyset\Leftrightarrow x\in U,y\notin V^{c},U\subseteq V^{c}\Rightarrow x\in U,y\notin U\)となるので\(T_{1}\)空間となる。

逆は一般的に成り立たない

反例は実数全体の集合\(\mathbb{R}\)の補有限位相\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{c}\right)\)である。。

\(T_{1}\)空間\(\Rightarrow T_{0}\)空間

\(\Rightarrow\)

\(T_{1}\)空間なので任意の異なる2点\(x,y\in X\)に対し、ある開集合\(U\)が存在し、\(x\in U\land y\notin U\)となるので、\(x\in U\land y\notin U\Rightarrow\left(x\in U\land y\notin U\right)\lor\left(y\in U\land x\notin U\right)\)となるので\(T_{0}\)空間となる。

逆は一般的に成り立たない

反例はシェルピンスキー空間\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)である。

(2)

反例はシェルピンスキー空間\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ b\right\} ,\left\{ a,b\right\} \right\} \)となる。
閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq\left\{ a,b\right\} \)が\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)となるのは\(F_{1}=F_{2}=\emptyset\)のときのみであるが、開集合を\(\emptyset,\emptyset\)ととれば、\(\emptyset\subseteq\emptyset,\emptyset\subseteq\emptyset,\emptyset\cap\emptyset=\emptyset\)となるので\(T_{4}\)空間となる。
しかし元\(a\)と閉集合\(\left\{ b\right\} \)が開集合で分離できないので\(T_{3}\)空間ではない。

-

反例は\(\left(\left\{ a,b,c,\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ a,c\right\} \left\{ a,b,c\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ b\right\} ,\left\{ c\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,b,c\right\} \right\} \)となり元\(a\)と閉集合\(\left\{ b\right\} \)が開集合で分離できないので\(T_{3}\)空間ではない。

(3)

反例は密着位相\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} \right\} \)である
元\(x\in\left\{ a,b\right\} \)と閉集合\(F\subseteq\left\{ a,b\right\} \)が\(\left\{ x\right\} \cap F=\emptyset\)となるのは\(F=\emptyset\)のときのみであるが、開集合を\(\left\{ a,b\right\} ,\emptyset\)ととると、\(x\in\left\{ a,b\right\} ,\emptyset\subseteq\emptyset,\left\{ a,b\right\} \cap\emptyset=\emptyset\)となるので\(T_{3}\)空間となる。
しかし、元\(a,b\)は開集合で分離できないので\(T_{2}\)空間ではない。

-

反例は\(\left(\left\{ a,b,c\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,b,c\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,b,c\right\} \right\} \)となり、元\(b,c\)が開集合で分離できないので\(T_{2}\)ではない。

(4)

反例は密着位相\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} \right\} \)となる。
閉集合\(F_{1},F_{2}\subseteq\left\{ a,b\right\} \)が\(F_{1}\cap F_{2}=\emptyset\)となるのは\(F_{1}=F_{2}=\emptyset\)のときのみであるが、開集合を\(\emptyset,\emptyset\)ととれば、\(\emptyset\subseteq\emptyset,\emptyset\subseteq\emptyset,\emptyset\cap\emptyset=\emptyset\)となるので\(T_{4}\)空間となる。
しかし、元\(a,b\)は開集合で分離できないので\(T_{2}\)空間ではない。

-

反例は\(\left(\left\{ a,b,c\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,b,c\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ b,c\right\} ,\left\{ a,b,c\right\} \right\} \)となり、元\(b,c\)が開集合で分離できないので\(T_{2}\)ではない。

-

反例は\(\left(\left\{ a,b,c,d\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ c,d\right\} ,\left\{ a,b,c,d\right\} \right\} \right)\)である。
これの閉集合は\(\left\{ \emptyset,\left\{ a,b\right\} ,\left\{ c,d\right\} ,\left\{ a,b,c,d\right\} \right\} \)となり、元\(a,b\)が開集合で分離できないので\(T_{2}\)ではない。

(5)

\(\Rightarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
\(T_{0}\)空間であるとき、任意の異なる2点\(x,y\in X\)について、ある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U\land y\notin U\)または\(x\notin U\land y\in U\)となる。
このとき、\(x\)の近傍系を\(\mathcal{V}\left(x\right)\)として、\(y\)の近傍系を\(\mathcal{V}\left(y\right)\)とすると、\(U\)は\(x\)の近傍系\(\mathcal{V}\left(x\right)\)の元\(U\in\mathcal{V}\left(x\right)\)になるが、\(U\)は\(y\)の近傍系\(\mathcal{V}\left(y\right)\)の元\(U\in\mathcal{V}\left(y\right)\)にはならないので\(\mathcal{V}\left(x\right)\ne\mathcal{V}\left(y\right)\)となり位相的に識別可能である。
これより、任意の異なる2点は位相的に識別可能となる。
従って、\(\Rightarrow\)が成り立つ。

\(\Leftarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
異なる任意の2点\(x,y\in X\)が位相的に識別可能であるとき、\(x\)の近傍系を\(\mathcal{V}\left(x\right)\)として、\(y\)の近傍系を\(\mathcal{V}\left(y\right)\)とすると、\(\mathcal{V}\left(x\right)\ne\mathcal{V}\left(y\right)\)となるので、ある近傍\(U\)が存在して、\(U\in\mathcal{V}\left(x\right)\land U\notin\mathcal{V}\left(y\right)\)または\(U\notin\mathcal{V}\left(x\right)\land U\in\mathcal{V}\left(y\right)\)となるので対称性より\(U\in\mathcal{V}\left(x\right)\land U\notin\mathcal{V}\left(y\right)\)が成り立つとしてよい。
\(U\in\mathcal{V}\left(x\right)\land U\notin\mathcal{V}\left(y\right)\)となるとき、\(x\in U,y\notin U\)となるのである開集合\(O\in\mathcal{O}\)が存在し、\(U\)は\(x\)の近傍なので\(x\in O\subseteq U\)と満たす。
また、\(\top\Leftrightarrow y\notin U\Leftrightarrow\left\{ y\right\} \cap U^{c}\ne\emptyset\Rightarrow\left\{ y\right\} \cap O^{c}\ne\emptyset\Leftrightarrow y\notin O\)となる。
従って、異なる任意の2点\(x,y\in X\)について、ある開集合\(O\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in O,y\notin O\)となるので\(T_{0}\)空間となる。
故に\(\Leftarrow\)が成り立つ。

\(\Leftrightarrow\)

これらより、\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(6)

\(\Rightarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
\(T_{1}\)空間ならば\(T_{0}\)空間は定義より明らかに成り立つ。
\(T_{1}\)空間であるとき、任意の異なる点\(x,y\in X\)について、ある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U,y\notin U\)となり、\(U\)は\(x\)の近傍であるが、\(y\)の近傍ではないので\(x\)と\(y\)は位相的に識別可能なので\(R_{0}\)空間となる。
従って、\(T_{1}\)空間ならば\(T_{0}\)空間かつ\(R_{0}\)空間が成り立つので\(\Rightarrow\)が成り立つ。

\(\Leftarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
\(T_{0}\)空間であるとき、任意の異なる点\(x,y\in X\)についてある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U,y\notin U\)または\(x\notin U,y\in U\)となるので、異なる点ならば位相的に識別可能である。
また、条件より、\(R_{0}\)空間であるので位相的に識別可能な2点は分離ができる。
従って、任意の異なる点\(x,y\in X\)は分離ができるので\(T_{1}\)空間となる。
故に\(\Leftarrow\)が成り立つ。

\(\Leftrightarrow\)

これらより、\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(7)

\(\Rightarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
\(T_{2}\)空間であるとき、定義より明らかに\(T_{0}\)空間となる。
また、位相的に識別可能な任意の点\(x,y\in X\)について、\(x\)と\(y\)は明らかに異なる点\(x\ne y\)であり、\(T_{2}\)空間なのである開集合\(O_{x},O_{y}\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in O_{x},y\in O_{y},O_{x}\cap O_{y}=\emptyset\)が成り立つので、\(x\)と\(y\)は開集合で分離が可能である。
従って、\(R_{1}\)空間となる。
これらより、\(T_{0}\)空間かつ\(R_{1}\)空間となるので\(\Rightarrow\)が成り立つ。

\(\Leftarrow\)

位相空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
条件より\(T_{0}\)空間なので、任意の異なる点\(x,y\in X\)についてある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U,y\notin U\)または\(x\notin U,y\in U\)となるので、異なる点ならば位相的に識別可能である。
条件より\(R_{1}\)空間であるので位相的に識別可能な2点は開集合で分離ができる。
従って、任意の異なる点\(x,y\in X\)が開集合で分離ができるので\(T_{2}\)空間となる。

\(\Leftrightarrow\)

これらより、\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(8)

\(\Rightarrow\)

\(T_{3}\)空間を\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)とする。
このとき、位相的に識別可能な任意の点\(x,y\in X\)をとると、ある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U,y\notin U\)または\(x\notin U,y\in U\)となるので、\(x\)と\(y\)の対称性より、\(x\in U,y\notin U\)とする。
このとき、\(U\)は開集合なので補集合\(U^{c}\)は閉集合となり、\(\top\Leftrightarrow y\notin U\Leftrightarrow y\in U^{c}\)となる。
ここで条件より\(T_{3}\)空間であるので点\(x\in X\)と閉集合\(U^{c}\)は開集合\(U_{x},U_{U^{c}}\)で分離することができるので\(x\in U_{x},U^{c}\subseteq U_{U^{c}},U_{x}\cap U_{U^{c}}=\emptyset\)
となる。
このとき、\(y\in U^{c}\subseteq U_{U^{c}}\)であるので、\(x\in U_{x},y\in U_{U^{c}},U_{x}\cap U_{U^{c}}=\emptyset\)となり、\(x\)と\(y\)は開集合\(U_{x},U_{U^{c}}\)で分離することができる。
従って、位相的に識別可能な任意の2点は開集合により分離ができるので\(R_{1}\)空間となる。
故に題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない

反例で示す。
\(K\)位相\(\left(\mathbb{R},\mathcal{O}_{K}\right)\)は\(T_{2}\)空間であるが\(T_{3}\)空間ではない。
また、\(T_{2}\)空間ならば\(R_{1}\)空間である。
従って、\(R_{1}\)空間であるが\(T_{3}\)空間ではない。
故に逆は一般的に成り立たない

(9)

\(\Rightarrow\)

正則空間であるとき、\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間であり、\(T_{1}\)空間ならば\(T_{0}\)空間なので明らかに\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間になる。
従って\(\Rightarrow\)が成り立つ。

\(\Leftarrow\)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)が\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間とする。
このとき、\(T_{0}\)空間なので任意の2点\(x,y\in X\)について、ある開集合\(U\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in U,y\notin U\)または\(x\notin U,y\in U\)となるので\(x,y\)の対称性より\(x\in U,y\notin U\)が成り立つとする。
このとき、\(U\)は開集合なので補集合\(U^{c}\)は閉集合となり、\(\top\Leftrightarrow y\notin U\Leftrightarrow y\in U^{c}\)となる。
ここで\(T_{3}\)空間であるので、点\(x\)と閉集合\(U^{c}\)はある開集合\(U_{x},U_{U^{c}}\subseteq\mathcal{O}\)が存在し、\(\top\Leftrightarrow x\in U\Leftrightarrow x\notin U^{c}\)となるので\(x\in U_{x},U^{c}\subseteq U_{U^{c}},U_{x}\cap U_{U^{c}}=\emptyset\)と開集合で分離ができる。
これより、異なる点\(x,y\in X\)は開集合\(O_{x},U_{U^{c}}\)で\(x\in O_{x},y\in U^{c}\subseteq U_{U^{c}},U_{x}\cap U_{U^{c}}=\emptyset\)となり開集合で分離ができるので\(T_{2}\)空間となる。
従って、\(T_{2}\)空間かつ\(T_{3}\)空間となり、\(T_{2}\)空間ならば\(T_{1}\)空間なので、\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間となる。
故に\(\Leftarrow\)が成り立つ。

\(\Leftrightarrow\)

これらより、\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(10)

\(\Rightarrow\)

正則空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)があるとき、\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間となる。
正則空間なので異なる任意の点\(x,y\in X\)について、ある開集合\(O_{x},O_{y}\in\mathcal{O}\)が存在し、\(x\in O_{x},y\in O_{y},O_{x}\cap O_{y}=\emptyset\)となる。
このとき、\(O_{x}\)は開集合なので補集合\(O_{x}^{c}\)は閉集合であり、\(\top\Leftrightarrow O_{x}\cap O_{y}=\emptyset\Leftrightarrow O_{y}\subseteq O_{x}^{c}\)より、\(y\in O_{y}\subseteq O_{x}^{c}\)となるので、\(O_{x}^{c}\)は\(y\)の閉近傍となり、\(x\in O_{x}\Leftrightarrow x\notin O_{x}^{c}\)となる。
正則空間なので点\(x\)と閉集合\(O_{x}^{c}\)は、ある開集合\(O_{x,2},O_{O_{x}^{c}}\subseteq\mathcal{O}\)が存在し、\(x\notin O_{x}^{c}\)なので\(x\in O_{x,2},O_{x}^{c}\subseteq O_{O_{x}^{c}},O_{x,2}\cap O_{O_{x}^{c}}=\emptyset\)と開集合で分離ができる。
このとき、\(\top\Leftrightarrow O_{x,2}\cap O_{O_{x}^{c}}=\emptyset\Leftrightarrow O_{x,2}\subseteq O_{O_{x}^{c}}^{c}\)より、\(x\in O_{x,2}\subseteq O_{O_{x}^{c}}^{c}\)となり、\(O_{O_{x}^{c}}\)は開集合なので補集合\(O_{O_{x}^{c}}^{c}\)は閉集合となるので\(O_{O_{x}^{c}}^{c}\)は\(x\)の閉近傍となる。
また、\(x\)の閉近傍\(O_{O_{x}^{c}}^{c}\)と\(y\)の閉近傍\(O_{x}^{c}\)の積集合は\(O_{O_{x}^{c}}^{c}\cap O_{x}^{c}=\left(O_{O_{x}^{c}}\cup O_{x}\right)^{c}\subseteq\left(O_{x}^{c}\cup O_{x}\right)^{c}=X^{c}=\emptyset\)となるので、\(x\)と\(y\)は閉近傍\(O_{O_{x}^{c}}^{c},O_{x}^{c}\)によって分離される。
従って、\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間となるので\(\Rightarrow\)が成り立つ。

逆は一般的に成り立たない

反例で示す。

(11)


(12)

\(\Rightarrow\)

位相空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)で異なる点\(x,y\in X\)が開集合で分離できるとき、分離ができるので\(R_{1}\)空間ならば\(R_{0}\)空間が成り立つ。
従って、\(\Rightarrow\)が成り立つ。

逆は一般的に成り立たない

シェルピンスキー位相\(\left(\left\{ a,b\right\} ,\left\{ \emptyset,\left\{ a\right\} ,\left\{ a,b\right\} \right\} \right)\)は\(R_{0}\)空間であるが、位相的に識別可能な\(a\)と\(b\)は開集合で分離ができないので\(R_{1}\)空間ではない。
従って、逆は一般的に成り立たない

(13)

\(\Rightarrow\)

条件より\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間であり、異なる任意の2点を閉近傍で分離できるので、開集合でも分離できる。
従って、\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間ならば\(T_{2}\)空間である。
故に\(\Rightarrow\)が成り立つ。

逆は一般的に成り立たない。

???

(14)

条件より完全\(T_{2}\)空間であるので、異なる2点は関数で分離ができ、関数で分離ができるとき閉近傍で分離ができるので\(T_{2\frac{1}{2}}\)空間となる。
従って題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない


(15)

\(\Rightarrow\)

完全\(T_{3}\)空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)の任意の点\(x\in X\)と任意の閉集合\(F\subseteq X\)について、完全\(T_{3}\)空間なので関数で分離ができるので開集合でも分離ができる。
従って、\(T_{3}\)空間となる。
故に完全\(T_{3}\)空間ならば\(T_{3}\)空間である。

逆は一般的に成り立たない

???

(16)

\(\Rightarrow\)

完全正則空間であるとき、\(T_{1}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間であり、\(T_{1}\)空間空間であるとき\(T_{0}\)空間なので、\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間となる。
従って、\(\Rightarrow\)が成り立つ。

\(\Leftarrow\)

\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間であるとき、完全\(T_{3}\)空間ならば\(T_{3}\)空間なので、\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間となる。
\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間であるとき、正則空間なので、\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間と同値である。
これより、完全正則空間であるとき、\(T_{1}\)空間となる。
従って、\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間ならば、\(T_{1}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間となる。
従って、\(\Leftarrow\)が成り立つ。

\(\Leftrightarrow\)

これらより\(\Rightarrow\)と\(\Leftarrow\)が成り立つので\(\Leftrightarrow\)が成り立つ。

(17)

完全正則空間であるとき、\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間となる。
また、完全\(T_{3}\)空間ならば\(T_{3}\)空間である。
これより、完全正則空間ならば、\(T_{0}\)空間かつ\(T_{3}\)空間になり、このとき、\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間になるので正則空間になる。
従って題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない


(18)

完全正則空間なので\(T_{0}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間となる。
また、完全正則空間なので正則空間となり\(T_{1}\)空間かつ\(T_{3}\)空間となる。
これより、\(T_{1}\)空間かつ完全\(T_{3}\)空間となる。
\(T_{1}\)空間より任意の単集合は閉集合となり、任意の異なる2点について、この2点は点と閉集合である単集合と考えることができ、完全\(T_{3}\)空間より関数で分離ができるので完全\(T_{2}\)空間となる。
従って、題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない


(19)


(20)

全部分\(T_{4}\)空間\(\left(X,\mathcal{O}\right)\)があるとき、任意の閉集合\(A,B\subseteq X\)について、\(A\cap B=\emptyset\)ならば、\(A\subseteq B^{c}\)より\(A\subseteq B^{c},B\cap B^{c}=\emptyset\)となるので、\(A\)と\(B\)は分離ができる。
このとき、全部分\(T_{4}\)空間なので\(A\)と\(B\)は開集合で分離ができる。
これより、任意の閉集合\(A,B\subseteq X\)について、\(A\cap B=\emptyset\)ならば\(A\)と\(B\)は開集合で分離ができるので\(T_{4}\)空間となる。
従って題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない

???

(21)

全部分正規空間なので、全部分\(T_{4}\)空間かつ\(T_{1}\)空間となる。
また、全部分\(T_{4}\)空間ならば\(T_{4}\)空間である。
これより、全部分正規空間であるとき、\(T_{4}\)空間かつ\(T_{1}\)空間となるので正規空間となる。
従って題意は成り立つ。

逆は一般的に成り立たない



ページ情報
タイトル
(*)分離公理(距離・正規・正則・T2・T1・T0・その他)同士の関係
URL
https://www.nomuramath.com/f35u0nib/
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