カントール集合の定義と性質

カントール集合の定義と性質

カントール集合の定義
閉区間\(\left[0,1\right]\)の実数を3進展開したときにどの桁にも1が含まれないような表示があるもの全体からなる集合をカントール集合という。
または、閉区間\(\left[0,1\right]\)の線分を3等分して真ん中の区間を開区間として取り除くという操作を線分に対して再帰的に繰り返して作られる集合である。

カントール集合の性質

(1)カントール集合の数式表示

カントール集合\(C\)は
\[ C=\left[0,1\right]\setminus\bigcup_{j=1}^{\infty}\bigcup_{k=0}^{3^{j-1}-1}\left(\frac{3k+1}{3^{j}},\frac{3k+2}{3^{j}}\right) \] となる。

(2)

カントール集合は閉集合となる。

(3)

カントール集合は連続体濃度\(\aleph\)となる。

(4)

カントール集合のルベーグ測度は0となる。

(1)

例えば\(0.1_{3}\)は\(0.0222\cdots_{3}\)と1を含まないような表示ができるのでカントール集合に含まれる。
また、\(0.2_{3}\)は\(0.1222\cdots_{3}\)と1を含む表示ができるが、\(0.2_{3}\)は1を含まない表示であるのでカントール集合に含まれる。

(2)

カントール集合は連続体濃度\(\aleph\)であるが、ルベーグ測度は0となる例である。

(1)の例

\[ C_{0}=\left[0,1\right]=\left[0_{3},1_{3}\right] \] \[ D_{1}=\left(\frac{1}{3},\frac{2}{3}\right)=\left(0.1_{3},0.2_{3}\right) \] \[ C_{1}=\left[0,\frac{1}{3}\right]\cup\left[\frac{2}{3},1\right]=\left[0_{3},0.1_{3}\right]\cup\left[0.2_{3},1_{3}\right] \] \[ D_{2}=\left(\frac{1}{3^{2}},\frac{2}{3^{2}}\right)\cup\left(\frac{4}{3^{2}},\frac{5}{3^{2}}\right)\cup\left(\frac{7}{3^{2}},\frac{8}{3^{2}}\right)=\left(0.01_{3},0.02_{3}\right)\cup\left(0.11_{3},0.12_{3}\right)\cup\left(0.21,0.22_{3}\right) \] \[ C_{2}=\left(0,\frac{1}{3^{2}}\right)\cup\left(\frac{2}{3^{2}},\frac{3}{3^{2}}\right)\cup\left(\frac{6}{3^{2}},\frac{7}{3^{2}}\right)\cup\left(\frac{8}{3^{2}},1\right)=\left[0_{3},0.01_{3}\right]\cup\left[0.02_{3},0.1_{3}\right]\cup\left[0.2_{3},0.21_{3}\right]\cup\left[0.22_{3},1_{3}\right] \]

(1)

閉区間\(\left[0,1\right]\)の線分を\(3\)等分して真ん中の区間を開区間として取り除くという操作を\(n\)回繰り返したときの残りの線分を\(C_{n}\)として、\(C_{n-1}\)回目から\(C_{n}\)回目に取り除けばいい線分を\(D_{n}\)とする。
\(D_{n}\)は既に取り除かれている成分については除外しなくてもいいので、実際に取り除く線分より多くてもいい。
\(D_{n}\)は、
\begin{align*} D_{n} & =\bigcup_{0<3k+1<3^{n}}\frac{1}{3^{n}}\left(3k+1,3k+2\right)\\ & =\bigcup_{k=0}^{3^{n-1}-\frac{1}{3}}\frac{1}{3^{n}}\left(3k+1,3k+2\right)\\ & =\bigcup_{k=0}^{3^{n-1}-1}\left(\frac{3k+1}{3^{n}},\frac{3k+2}{3^{n}}\right) \end{align*} となるので、\(C_{n}\)は、
\begin{align*} C_{n} & =C_{n-1}\setminus D_{n}\\ & =C_{n-1}\cap D_{n}^{c}\\ & =C_{n-2}\cap D_{n-1}^{c}\cap D_{n}^{c}\\ & =C_{0}\cap\bigcap_{j=1}^{n}D_{j}^{c}\\ & =C_{0}\cap\left(\bigcup_{j=1}^{n}D_{j}\right)^{c}\\ & =C_{0}\setminus\bigcup_{j=1}^{n}D_{j}\\ & =\left[0,1\right]\setminus\bigcup_{j=1}^{n}\bigcup_{k=0}^{3^{j-1}-1}\left(\frac{3k+1}{3^{j}},\frac{3k+2}{3^{j}}\right) \end{align*} となる。
これより
\[ C=C_{\infty}=\left[0,1\right]\setminus\bigcup_{j=1}^{\infty}\bigcup_{k=0}^{3^{j-1}-1}\left(\frac{3k+1}{3^{j}},\frac{3k+2}{3^{j}}\right) \] となる。

(2)

カントール集合\(C\)は区間を3等分して、真ん中を取り除いていく操作を繰り返すので、\(n\)回目では\(\frac{1}{3^{n}}\)等分して、\(k\in\left\{ 0,1,2,\cdots,3^{n-1}-1\right\} \)として、\(3k+2\)番目を取り除けばいいので、
\[ J_{n}=\bigcup_{k=0}^{3^{n-1}-1}\left(\frac{3k+1}{3^{n}},\frac{3k+2}{3^{n}}\right) \] \[ J=\bigcup_{n=1}^{\infty}J_{n} \] \[ C=\left[0,1\right]\setminus J \] と表され、\(J_{n}\)は開集合の有限個の和集合なので開集合であり、\(J\)は開集合の任意個の和集合なので開集合となる。
また、\(J\)の補集合\(J^{c}\)は開集合の補集合なので閉集合となり、カントール集合は閉集合\(\left[0,1\right]\)と閉集合\(J^{c}\)の積集合となるので閉集合となる。
従って題意は成り立つ。

(3)

3進数で表したときに、各桁が0または2のみで表す表示があることと、カントール集合の元になることは同値である。
これより、\(\left[0,1\right]\)の任意の元について、2進数表示をして、各桁について\(0\rightarrow0,1\rightarrow2\)とすれば、各桁が0または2となるのでカントール集合の元となる。
この2進数表示をするときには、\(0.0111\cdots_{2}\)のように無限に1が続くものは\(0.1_{2}\)と考えるとする。
従って、\(\left[0,1\right]\)からカントール集合\(C\)への単射が存在するので\(\left|\left[0,1\right]\right|\leq\left|C\right|\)となる。
また、\(C\subseteq\left[0,1\right]\)なので\(\left|C\right|\leq\left|\left[0,1\right]\right|\)である。
これより、\(\left|\left[0,1\right]\right|\leq\left|C\right|\leq\left|\left[0,1\right]\right|\)となり、\(\left|C\right|=\left|\left[0,1\right]\right|=\aleph\)となる。
従って題意は成り立つ。

補足

カントール集合から\(\left[0,1\right]\)への写像を3進数表示をして、各桁について\(0\rightarrow0,2\rightarrow1\)としても単射にはなりません。
例えば\(0.2_{3}\ne0.1_{3}=0.0222\cdots_{3}\)であるが、\(0.2_{3}\mapsto0.1_{2}\)であり、\(0.0222\cdots_{3}\mapsto0.0111\cdots_{2}=0,1_{2}\)となるので単射とはならないからである。

(4)

カントール集合は残っている集合を\(\frac{1}{3}\)ずつ取り除いていくので
\begin{align*} \mu\left(C\right) & =\lim_{n\rightarrow\infty}\left(\frac{2}{3}\right)^{n}\\ & =0 \end{align*} となる。
従って題意は成り立つ。
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カントール集合の定義と性質
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