整列集合の基本的な性質

整列集合の基本的な性質
整列集合\(\left(X,\preceq\right)\)とその部分集合\(A\subseteq X\)について以下が成り立つ。

(1)

整列集合\(\left(X,\preceq_{X}\right)\)の部分集合\(A\subseteq X\)は\(\preceq_{X}\)を\(A\)に制限した順序を\(\preceq_{A}\)として、整列集合\(\left(A,\preceq_{A}\right)\)になる。

(2)

\[ X\left\langle \min X\right\rangle =\emptyset \]

(3)

\[ \forall a,b\in X,b\prec a\rightarrow X\left\langle a\right\rangle \left\langle b\right\rangle =X\left\langle b\right\rangle \]

(4)

整列集合\(\left(X,\preceq\right)\)の元\(a,a'\in X\)が\(a<a'\)を満たすなら\(a\)の直後の元が存在する。

(5)

整列集合\(\left(X,\preceq\right)\)の元\(a\in X\)が最小の元でなくても、つまり\(a\ne\min X\)であっても\(a\)の直前の元が存在するとは限らない。

(1)

\(A\)の任意の部分集合\(B\subseteq A\)について、\(B\)は\(X\)の部分集合でもあり、\(\left(X,\preceq_{X}\right)\)は整列集合なので、\(B\)は最小元をもつ。
従って、\(\preceq_{X}\)を\(A\)に制限した順序を\(\preceq_{A}\)として、\(\left(A,\preceq_{A}\right)\)は整列集合となる。
従って、題意は成り立つ。

(2)

\(X\left\langle \min X\right\rangle =\left\{ x\in X;x\prec\min X\right\} \)となるが\(x\prec\min X\)を満たす\(x\)は存在しないので与式は成り立つ。

(3)

\(b\prec a\)のとき\(X\left\langle a\right\rangle \left\langle b\right\rangle =\left\{ x\in X;x\prec a\right\} \left\langle b\right\rangle =\left\{ x\in X;x\prec a\land x\prec b\right\} =\left\{ x\in X;x\prec b\right\} =X\left\langle b\right\rangle \)なので与式は成り立つ

(4)

\(a<a'\)を満たすので\(a\)より後ろに元が存在するので\(X\)の部分集合を\(Y=\left\{ y\in X;a<y\right\} \subseteq X\)とすると\(Y\ne\emptyset\)となり、\(X\)は整列集合なので\(\min Y\)が存在する。
この\(\min Y\)は\(a\)の直後の元になっているので題意は成り立つ。

(5)

反例で示す。
\(X=\mathbb{N}\cup\left\{ w\right\} \)として、\(\mathbb{N}\)の元同士では通常の大小関係、\(\mathbb{N},\left\{ w\right\} \)についての大小関係は任意の\(n\in\mathbb{N}\)に対し\(n<w\)とする。
このとき、\(\left(\mathbb{N}\cup\left\{ w\right\} ,\preceq\right)\)は整列集合となるが、元\(w\)は直前の元をもたない。
従って、反例が示された。

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整列集合の基本的な性質
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