櫛(くし)空間と位相幾何学者の正弦曲線の定義

櫛(くし)空間と位相幾何学者の正弦曲線の定義
櫛空間と位相幾何学者の正弦曲線は次で定義される。

(1)櫛空間

ユークリッド空間\(\left(\mathbb{R}^{2},d\right)\)で
\[ \begin{cases} A_{n}=\left\{ \left(\frac{1}{n},y\right);0<y\leq1\right\} \\ A_{\infty}=\left\{ \left(0,y\right);0<y\leq1\right\} \\ B=\left\{ \left(x,0\right);0\leq x\leq1\right\} \end{cases} \] とおいたとき、部分空間
\[ X=\bigcup_{k\in\mathbb{N}}A_{k}\cup A_{\infty}\cup B \] を櫛(くし)空間という。
櫛空間は連結であるが局所連結ではない。
何故なら任意の\(X\)上の2点は道で繋がっているから弧状連結となり、弧状連結なので連結となる。
しかし、\(a=\left(0,\frac{1}{2}\right)\)として近傍\(U_{\mathbb{R}^{2}}\left(a,\frac{1}{2}\right)\)をとり、\(U_{\mathbb{R}^{2}}\left(a,\frac{1}{2}\right)\)に含まれる任意の近傍\(V_{\mathbb{R}^{2}}\left(a,\epsilon\right),0<\epsilon<\frac{1}{2}\text{となる}\)に対し、\(V_{\mathbb{R}^{2}}\left(a,\epsilon\right)\cap X\)は連結成分が無限にあり非連結となるので局所連結ではない。
また
\begin{align*} B' & =B\setminus\left(0,0\right)\\ & =\left\{ \left(x,0\right);0<x\leq1\right\} \end{align*} として、櫛空間から原点を除いた空間
\begin{align*} X' & =X\setminus\left(0,1\right)\\ & =\bigcup_{k\in\mathbb{N}}A_{k}\cup A_{\infty}\cup B' \end{align*} は原点抜き櫛空間といい、連結であるが弧状連結でなく局所連結でもない例となる。

(2)位相幾何学者の正弦曲線

ユークリッド空間\(\left(\mathbb{R}^{2},d\right)\)の部分空間
\[ A=\left\{ \left(x,\sin\frac{1}{x}\right);x\in\left(0,1\right]\right\} \cup\left\{ 0,0\right\} \] を位相幾何学者の正弦曲線という。
位相幾何学者の正弦曲線は連結であるが、局所連結でも弧状連結でもない。
櫛空間と位相幾何学者の正弦曲線は連結であるが弧状連結でない例としてよく用いられます。

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櫛(くし)空間と位相幾何学者の正弦曲線の定義
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