早期権利行使は損
早期権利行使は損
時刻\(t\)での市場価格を\(S\left(t\right)\)で表すとする。
\(t=0\)で購入した満期\(t=T\)の権利行使価格\(K\)のコールオプションがあるとき、\(t=t'<T\)で\(K<S\left(t'\right)\)でも早期権利行使をしてその瞬間に対象商品を購入するより、そのまま満期まで持っておいた方が常に得をする。
同様にコールオプションでは早期権利行使をしてそのまま放置するよりは、早期権利行使をせずにそのまま持った状態で対象商品の空売りをするほうが常に得をする。
しかし、プットオプションの買い手では早期権利行使をしたほうが良いか満期まで持っておいた方が良いかはそのときによって異なる。
また、コールオプション・プットオプションともに早期権利行使をするよりその権利を売る方が得(同じも含む)をする。
同じとなるのはプットオプションのときの対象商品の下限が0円で0円になったときである。
時刻\(t\)での市場価格を\(S\left(t\right)\)で表すとする。
\(t=0\)で購入した満期\(t=T\)の権利行使価格\(K\)のコールオプションがあるとき、\(t=t'<T\)で\(K<S\left(t'\right)\)でも早期権利行使をしてその瞬間に対象商品を購入するより、そのまま満期まで持っておいた方が常に得をする。
同様にコールオプションでは早期権利行使をしてそのまま放置するよりは、早期権利行使をせずにそのまま持った状態で対象商品の空売りをするほうが常に得をする。
しかし、プットオプションの買い手では早期権利行使をしたほうが良いか満期まで持っておいた方が良いかはそのときによって異なる。
また、コールオプション・プットオプションともに早期権利行使をするよりその権利を売る方が得(同じも含む)をする。
同じとなるのはプットオプションのときの対象商品の下限が0円で0円になったときである。
早期権利行使をするのは残存期間の時間的価値が失われてしまうので損ということがわかります。
しかし、その権利を売るのと満期まで持っておくのとではどちらがいいのかまではわかりません。
これがわかると簡単にお金が増やせてしまいます。
しかし、その権利を売るのと満期まで持っておくのとではどちらがいいのかまではわかりません。
これがわかると簡単にお金が増やせてしまいます。
オプションの決済方式は差金決済型で証明をするが現物型でも同じである。
満期まで待って権利を行使した場合の損益は
\[ P_{T}=\max\left(S\left(T\right)-K,0\right) \] となり、時刻\(t=t'\)で権利を行使し、その瞬間に対象商品を購入して\(t=T\)まで持って売るとした場合の損益は\(r>1\)を安全資産の単位時間当たりの増減倍率として、利益\(S\left(t'\right)-K\)に対する金利と購入\(-S\left(t^{'}\right)\)に使った分の金利を考慮すると、
\begin{align*} P_{t'} & =\left(S\left(t'\right)-K\right)+\left(S\left(T\right)-S\left(t'\right)\right)+\left(S\left(t'\right)-K-S\left(t^{'}\right)\right)\left(r^{T-t'}-1\right)\\ & =S\left(T\right)-Kr^{T-t'} \end{align*} となる。
これより、
\begin{align*} P_{T}-P_{t'} & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)-\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right)\\ & =\begin{cases} S\left(T\right)-K-\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & =\begin{cases} K\left(r^{T-t'}-1\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+K+K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & >0 \end{align*} となる。
従って、\(S\left(T\right)\)に関わらず常に\(P_{t'}<P_{T}\)となるので、権利を行使しない方がいい。
ただし、プットオプションの場合は、
\begin{align*} P_{T}-P_{t'} & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)-\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right)\\ & =\begin{cases} K-S\left(T\right)-\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right) & S\left(T\right)\leq K\\ -\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right) & K<S\left(T\right) \end{cases}\\ & =\begin{cases} -K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-K-K\left(r^{T-t'}-1\right) & K<S\left(T\right) \end{cases} \end{align*} となるので、\(S\left(T\right)\)により、早期権利行使をしたほうがいいのかが異なってくる
コールオプションを満期まで持っていた場合の損益\(P_{T}\)は
\[ P_{T}=\max\left(S\left(T\right)-K,0\right) \] であり、空売りによる損益\(Q_{t'}\)は空売りで得た金額にも金利が得られるので、\(r>1\)を安全資産の単位時間当たりの増減倍率として、
\begin{align*} Q_{t'} & =\left(-S\left(T\right)+S\left(t'\right)\right)+S\left(t'\right)\left(r^{T-t'}-1\right)\\ & =S\left(t'\right)r^{T-t'}-S\left(T\right) \end{align*} となり、時刻\(t'\)で早期権利行使した場合の時刻\(T\)での損益\(R_{t'}\)は利益にかかる金利を考慮して、
\[ R_{t'}=\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'} \] となる。
これより、コールオプションを満期まで持っていた場合の損益\(P_{T}\)とコールオプションの場合の空売りによる損益\(Q_{t'}\)との合計と早期権利行使した場合の損益\(R_{t'}\)を比べると、
\begin{align*} P_{T}+Q_{t'}-R_{t'} & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)+S\left(t'\right)r^{T-t'}-S\left(T\right)-\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'}\\ & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\\ & =\begin{cases} S\left(T\right)-K-S\left(T\right)+Kr^{T-t'} & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+Kr^{T-t'} & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & =\begin{cases} K\left(r^{T-t'}-1\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+K+K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & >0 \end{align*} なので、\(R_{t'}<P_{T}+Q_{t'}\)となり、早期権利行使をしてそのまま放置するよりは、そのままコールオプションを持った状態で対象商品の空売りするほうが得するのである。
ただし、プットオプションの場合は、
\begin{align*} P_{T}+Q_{t'}-R_{t'} & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)-S\left(t'\right)r^{T-t'}+S\left(T\right)+\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'}\\ & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)+S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\\ & =\begin{cases} K-S\left(T\right)+S\left(T\right)-Kr^{T-t'} & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-Kr^{T-t'} & K<S\left(T\right) \end{cases}\\ & =\begin{cases} -K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-K-K\left(r^{T-t'}-1\right) & K<S\left(T\right) \end{cases} \end{align*} となるので、\(S\left(T\right)\)により、早期権利行使をしたほうがいいのかが異なってくる。
コールオプション・プットオプションともにオプション価格は本質的価値と時間的価値からなり、権利を行使すると本質的価値の分だけしか利益にならずに時間的価値は残存期間があるのに失われてしまうので損をする。
なので、早期権利行使をするより、その権利を本質的価値と時間的価値とで売るほうが得をするのである。
ただし、プットオプションでは下限が0円で0円になった場合はそれより下がらず時間的価値がないので早期権利行使でも権利を売っても同じとなる。
また、プットオプションで対象商品が0円になった場合は早く利益確定することにより現金を早く手に入れられ満期までの金利分だけ得をするので、満期まで持つより早期権利行使するか権利を売るほうが得をする。
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早期権利行使をしてその瞬間に対象商品を購入して満期まで持つよりも、権利を行使せずにずっと持っていた方がいいことの証明をする。満期まで待って権利を行使した場合の損益は
\[ P_{T}=\max\left(S\left(T\right)-K,0\right) \] となり、時刻\(t=t'\)で権利を行使し、その瞬間に対象商品を購入して\(t=T\)まで持って売るとした場合の損益は\(r>1\)を安全資産の単位時間当たりの増減倍率として、利益\(S\left(t'\right)-K\)に対する金利と購入\(-S\left(t^{'}\right)\)に使った分の金利を考慮すると、
\begin{align*} P_{t'} & =\left(S\left(t'\right)-K\right)+\left(S\left(T\right)-S\left(t'\right)\right)+\left(S\left(t'\right)-K-S\left(t^{'}\right)\right)\left(r^{T-t'}-1\right)\\ & =S\left(T\right)-Kr^{T-t'} \end{align*} となる。
これより、
\begin{align*} P_{T}-P_{t'} & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)-\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right)\\ & =\begin{cases} S\left(T\right)-K-\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -\left(S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & =\begin{cases} K\left(r^{T-t'}-1\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+K+K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & >0 \end{align*} となる。
従って、\(S\left(T\right)\)に関わらず常に\(P_{t'}<P_{T}\)となるので、権利を行使しない方がいい。
ただし、プットオプションの場合は、
\begin{align*} P_{T}-P_{t'} & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)-\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right)\\ & =\begin{cases} K-S\left(T\right)-\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right) & S\left(T\right)\leq K\\ -\left(-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\right) & K<S\left(T\right) \end{cases}\\ & =\begin{cases} -K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-K-K\left(r^{T-t'}-1\right) & K<S\left(T\right) \end{cases} \end{align*} となるので、\(S\left(T\right)\)により、早期権利行使をしたほうがいいのかが異なってくる
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コールオプションでは早期権利行使をしてそのまま放置するよりは、早期権利行使をせずにそのまま持った状態で、対象商品の空売りをするほうが得となることの証明をする。コールオプションを満期まで持っていた場合の損益\(P_{T}\)は
\[ P_{T}=\max\left(S\left(T\right)-K,0\right) \] であり、空売りによる損益\(Q_{t'}\)は空売りで得た金額にも金利が得られるので、\(r>1\)を安全資産の単位時間当たりの増減倍率として、
\begin{align*} Q_{t'} & =\left(-S\left(T\right)+S\left(t'\right)\right)+S\left(t'\right)\left(r^{T-t'}-1\right)\\ & =S\left(t'\right)r^{T-t'}-S\left(T\right) \end{align*} となり、時刻\(t'\)で早期権利行使した場合の時刻\(T\)での損益\(R_{t'}\)は利益にかかる金利を考慮して、
\[ R_{t'}=\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'} \] となる。
これより、コールオプションを満期まで持っていた場合の損益\(P_{T}\)とコールオプションの場合の空売りによる損益\(Q_{t'}\)との合計と早期権利行使した場合の損益\(R_{t'}\)を比べると、
\begin{align*} P_{T}+Q_{t'}-R_{t'} & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)+S\left(t'\right)r^{T-t'}-S\left(T\right)-\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'}\\ & =\max\left(S\left(T\right)-K,0\right)-S\left(T\right)+Kr^{T-t'}\\ & =\begin{cases} S\left(T\right)-K-S\left(T\right)+Kr^{T-t'} & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+Kr^{T-t'} & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & =\begin{cases} K\left(r^{T-t'}-1\right) & K\leq S\left(T\right)\\ -S\left(T\right)+K+K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)<K \end{cases}\\ & >0 \end{align*} なので、\(R_{t'}<P_{T}+Q_{t'}\)となり、早期権利行使をしてそのまま放置するよりは、そのままコールオプションを持った状態で対象商品の空売りするほうが得するのである。
ただし、プットオプションの場合は、
\begin{align*} P_{T}+Q_{t'}-R_{t'} & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)-S\left(t'\right)r^{T-t'}+S\left(T\right)+\left(S\left(t'\right)-K\right)r^{T-t'}\\ & =\max\left(K-S\left(T\right),0\right)+S\left(T\right)-Kr^{T-t'}\\ & =\begin{cases} K-S\left(T\right)+S\left(T\right)-Kr^{T-t'} & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-Kr^{T-t'} & K<S\left(T\right) \end{cases}\\ & =\begin{cases} -K\left(r^{T-t'}-1\right) & S\left(T\right)\leq K\\ S\left(T\right)-K-K\left(r^{T-t'}-1\right) & K<S\left(T\right) \end{cases} \end{align*} となるので、\(S\left(T\right)\)により、早期権利行使をしたほうがいいのかが異なってくる。
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早期権利行使をするよりその権利を売る方が得をすることの証明をする。コールオプション・プットオプションともにオプション価格は本質的価値と時間的価値からなり、権利を行使すると本質的価値の分だけしか利益にならずに時間的価値は残存期間があるのに失われてしまうので損をする。
なので、早期権利行使をするより、その権利を本質的価値と時間的価値とで売るほうが得をするのである。
ただし、プットオプションでは下限が0円で0円になった場合はそれより下がらず時間的価値がないので早期権利行使でも権利を売っても同じとなる。
また、プットオプションで対象商品が0円になった場合は早く利益確定することにより現金を早く手に入れられ満期までの金利分だけ得をするので、満期まで持つより早期権利行使するか権利を売るほうが得をする。
ページ情報
タイトル | 早期権利行使は損 |
URL | https://www.nomuramath.com/vvhx6f1l/ |
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\[
\begin{cases}
\frac{\left(\frac{q}{p}\right)^{a}-\left(\frac{q}{p}\right)^{a+b}}{1-\left(\frac{q}{p}\right)^{a+b}} & p\ne\frac{1}{2}\\
\frac{b}{a+b} & p=\frac{1}{2}
\end{cases}
\]
株価とマーケットポートフォリオからベータ値を求める
割引配当による理論株価
\[
P=\frac{a}{r}
\]
金融関係の色々な定義